終ヴィル、ようやくフルコンしました!前評判の通りすごく面白かった!
Twitterでやってた実況 #終遠の弟 のまとめなので、良かったらそちらもぜひ~~~。
前情報無しでのプレイを推奨
すごく良かった
良かったです。
食わず嫌いはしないで欲しい良作
プレイしていて疲れる絶望感
「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-」(Switch / CERO-D)
ブランド:オトメイト
発売日:2021年10月7日
定価:7,150円(税込)
CV:斉藤壮馬(イヴ), 平川大輔(リュカ・プルースト), 天﨑滉平(マティス・クロード), 細谷佳正(シアン・ブロフィワーズ), 八代拓(アドルフ), 興津和幸(アンクゥ)
以下ネタバレ含みます、ご注意下さい。
良かったところ
・愛が強い
全体的にとてもよく出来てました。そうでありませんようにと願った展開を悉く拾ってくれる地獄仕様。どのルートも真相なみの濃さだし隙間なく絶望で埋められてます。
とにかく序盤から最後までずーーーっと嫌な予感がまとわり付いて拭えないっていう、ベストな按配で陰気をキープしてるのが凄い。後ろから書いたんじゃないかって思うほど、全てのエピソードが無駄にならず意味があったのが素晴らしかったね。
ツッコミどころもあるにはあるんだけど、あくまでファンタジーだと思えば何とか。
怒涛の倫欠展開なので相性はあるだろうし、本気のSF好きが読んだら地団駄踏んでしまうかもしれん。
ただそんなことには目を瞑れてしまうくらい強いです、愛が。
本当に全身全霊で愛して頂きました。
鮮烈な愛の物語を読みたい方にはとてもお勧め。
・気品があって鮮やかな筆致
台詞を割りがち&ページ送り刻みがちだけど、緩急あるテキストはリズムが良くて読みやすかった。
尖った白、雫を形にはせず、体を循環する赤が散乱、たまにハッとするほど表現が鮮やかで美しい。
台詞も重くて鋭くてグサグサ刺さりました。特に感情が波立ち昂ぶっていく様子に迫力があって気持ち良かったです。
・構成とスチル
絶望し続けてようやく三幕の救済に辿り着いた時はスチルの明るさ華やかさに胸が打たれました。
私は普段、まず1番好きな男を初回攻略、かつハッピーエンドを見てからバッドエンドを見るタイプなんですけど、この作品は「さあハッピーエンドを見てやるぞ!」ってのが物語の肝になっているので、ガッチガチの攻略制限は正解だったと思う。
こういう話ならみんなで同じ道辿るのもなかなか良いね。プレイヤーレベルでの共闘感があったよ。
良くなかったところ
・【】が多すぎ
【死】とか【神】とかの強調表現、どうしても引っかかってほしいところで使ってくれるのは有り難いんだけど、数行おきに出てくるからたまらない。単純に字面が美しくないし、アンダーラインはこっちに引かせてくれもっと読み手の読解力を信用してくれと歯がゆい気持ちになりました。親切がすぎる。
俯瞰で読んでも十二分に素晴らしい物語ですが、こちらの視点が下がりにくくてちょっと離れたところで話が進んでいってる感覚があるし、どうしてそうなるの?とまでは思わないもたまに展開がガタつくというか違和感があってしっくりこないことは多かったかも。
・攻略対象に嫉妬した
私は竿が足りてりゃ何でもいい派なんですが、今回ばかりは「よりによってお前かよ……」と絶望しました。
男としても人間としても見た目性格口調CVに至るまで作品中1番好きな男を攻略対象に取られたっていう、この虚しさやるせなさよ。
そもそも乙女ゲームで描かれるとすごく推しにくくなってしまう要素をイケメンイケボに与えちゃダメだよ。クズとか外道とかとはまた別の話じゃないですか。
これだけ緻密なプロットと男同士の熱い友情が大好物な乙女ゲーマーを前に、一体何がしたかったんだってのが率直な疑問です。
本当にヘイトを集めてでも攻略対象への恋愛感情でなければいけないのかってしっかり考えてほしかったな、考えてこれなら運が悪かったと潔く諦めます。
スケベメーター
・10段階中0スケベ
このテーマで生殖を扱わないのは違和感があるものの、いや~~~これは仕方ない!マジでエロいことしてる場合じゃないもん!そんな時間も余裕もない!!!許す!!!私がエロくないDを許す日が来るとは!!!
弟メーター
・10段階中0.5弟
う~~~ん、いるにはいるけど私ジャッジだと彼は弟ではないんですよねえ。
攻略対象について
※攻略順に並べています
【マティス】何だよ~この流れでいくと悲惨ではあるけどハピエンじゃん~~~ってまんまと途中まで思ってました。そんな美しい場所には降ろしてもらえなかった絶望ENDに辿り着いた時、オトメイト今回は本気で来たなってこちらも覚悟したよね。大半は相当無理した上で殺すか殺されるかのあそこで降ろす。それもあって初回マティスは正解だったなと。
私、本能とか魂とか、そういう大元のすごく純度の高いところで求め合うカップルが大好きなんですよ。どちらの結末もこの二人の絆の強さにも痺れました。
あとジャンさん好き。カプシーヌやダハトの愛と理想は高次元すぎていまいち共感出来なかったけど、ジャンさんの渇望はとてもよく分かる。私も可能性さえあるなら縋ってしまうかもしれない。
彼が一度は諦め死の直前に取り戻した、もう一度最初から恋を始めるというシンプルな希望をマティスが引き継いだのを見届けて、終ヴィルはサブの物語まで抜かりねえなと感服しちゃった。
【シアン】色っぽくて無敵、こんな男そりゃみんな落ちるわ!って早々に理解した。戦意を消失しない男って本当に格好いいよね。
特にシアンさんのセレス評が大好きで、あの紙一重な奥ゆかしさを度胸の有る無しで判じたあたり、スッとしたし、すごく良いカプだなって思いました。
セレスも彼が味方でいることの心強さにすごく素直に寄りかかれてる感じがして、私もどこ目線なのか謎ですが彼女に心身の安寧を与えてくれたことに感謝したい。
ずっとシアンさんの傍にいろ離れるなって思わせてくれる強者感はちょっとそのへんの男とは格が違いました。あまりにも万能すぎて典型的なデウス・エクス・マキナになっちゃってるんだけど、誰が犠牲になっても結局シアンさんがいないと詰むんではないかあの国。その場で新しい言語開発しだした時はすごすぎて若干引いた。
【リュカ】アリバイとロザリオで確定早かったんだけど、CV平川大輔に裏の顔があるのはあまりにも当然すぎて「やっぱりね!さすがCV平川大輔は裏切らないよ!」とまた別方向への信頼が増すという、説明がすごく難しい感情になっちゃったよ。
特に初めて一緒に寝た夜が良かったなあ。寝るまで傍にいるってベッドに背中を預けてくれる、あの深夜同室の空気感よ。
マジで息を吐くように嘘つくあたりすぐキョドって即バレする男とは精神力が違う。もう無理ってなるタイミングがめちゃめちゃ遅くてその思いの強さに戦慄しました。
彼は救済も切なくて、形式上生まれ変われるリライバーという技術が既に存在しているあの世界で来世に期待エンドはなかなか容赦ないなと一撃喰らったんだけど、いやでもあれは許されるラインを完全に越えてしまってたあの2人に贈れる最大限に優しい終着点だなとジワジワ思い直しました。彼らもきっとあれで良かったんだろうし、ちゃんと救済されたんだと思おう。
ただそれを見届けるアンクゥさんがさあ……。精一杯生きた当人達はどうであれ、番人然としてあの剣を差し出したアンクゥの心中を想像すると胸が痛すぎます。彼が介錯担当なのはほんとしんどい。
聖者ルカってお医者さんの守護聖人なんですよね。憶測でしかないけどLucasって名前ここから付けられたんだったら皮肉が効いてて素敵だな。
【イヴ】本当に死神を愛し愛されるために存在しているような男だったし、イヴセレは最強すぎちゃって。全てが出来すぎている。
10割善の男がそのまんまめちゃめちゃ厄介な男に変貌する過程も愛おしいし、何よりあんなにも刹那的で強烈な感情の前では誰も敵わんだろ。その手を取るセレスもまた素晴らしい。ダメだ、彼らの良さを語るには語彙が足りない。
【アドルフ】個人的に彼が抱えてた秘密がすごく辛くて、と同時に私もみんなと一緒であることに価値を見出している事実を突きつけられたような気がしてキツかったなあ。時と場所が変われば普通であることでさえ絶望になり得るって、ここまで散々呪いや寿命に絶望させられた身には強烈なインパクトでした。
セレスを庇って死にたいのかなってうっすら感じてたけど、とりあえずあの火事からセレスを救うのは自分でありたかったんだろうなとは思います。
「守る」という意味を正してくれるのが自身の努力だけでなくイヴやアンクゥであったのが本当に良かったし、死に場所じゃなく居場所を求めたアドルフが実を結んだ三幕救済だったな。
【アンクゥ】孤独に死ぬのと未知の技術が何より怖かった人に一人で辿らせるには最高に趣味が悪いあの旅路を経てなお先に逝けるアンクゥの愛がすごすぎた。あんな重い花束初めて受け取りました。
疲れたってのも満たされたってのもそりゃ本心だろうけど、私だったらセレス抱くまでは意地でも生にしがみつく。だってすごい頑張ったもん。
普通に生きて普通に死にたかっただけなのになあ。終ヴィルは本当に人の心が無い。ただアドルフとアンクゥのVSには死ぬほど萌えたので感謝せざるを得ない。ありがとうございました。